久しぶりの投稿です。2013年初投稿が6月、しかも前回が昨年の8月。。誰に求められているものでもないですが、なんとも間が空きすぎました。特に再開をするキッカケのようなものがあった訳ではないのですが、少し考えるべきことも多くなり、その時の考えごとに直接関係がなくとも思考やインプットを整理していこうかなと思っているところです。
さて、先日、登山道具レンタルビジネスの起業家である山田淳氏の講演をお聞きし、少し意見交換させていただく機会がありました。氏の経歴ややられていることは、下記の記事がわかりやすいです。
新世代リーダー 山田 淳 登山ガイド 山の世界から見る新しい日本
特にその経歴(灘・東大→七大陸最高峰最年少登頂記録→マッキンゼー→起業)がとにかく目を引きますが、ご本人は親しみやすいキャラクターと軽妙なトークで人を惹きつける方で、氏の登山ガイドを受けた人は「山田さんファン」になり、「どの山に登りたいかより山田さんと登りたい」という状態になるそうです。「そこに山があるから」ではなく「山田さんと登れるから」という(笑)
講演では七大陸最高峰登頂の話を中心に、直近の起業も絡めたお話もお聞きできました。月並みすぎますが、(色々な比喩での)「山に登る」ということに対して、山田氏がどのようにアプローチされているのか、私の得たことを整理します。
・目的を忘れない
七大陸最高峰最難関のエベレストの登頂ともなると、常人の想像を超える世界。実は常に登り続けている訳ではなく、ベースキャンプ(既に5300m!)を拠点に少し登っては戻り、また少し目標の高さを上げて登っては戻りを繰り返し、体を順応させながら、その少しずつ上げる目標の高さを頂上に持っていく作業を2カ月程繰り返すのだそうです。
登るという行為自体の難しさももちろんありながら、これは精神力の世界。体力を削がれながら、体重は5kg減り、常に二日酔いのような状態(高山病)で2カ月登ったり下ったりを繰り返す訳です。そして道中には死体が転がっている。そうなると、皆、頂上を目指すという当初の目的を忘れ、やれスペイン隊は調子がいいらしいぞ、などと横との比較をし出すようになるそうです。また、頂上目前のキャンプにはそこまで登ってきている各国の隊が最後の登頂へのアタックの準備をしているそうですが、先頭を切って出ると登頂のためのロープを氷壁に張る作業をしなくてはいけない(体力を消耗する)ことから、どこか他の隊が出たら即後ろを2番手で追随できるように様子見をジリジリとするそうです。
本来は山と向かい合っているのに、いつのまにか横との戦いに目的がすり替わってしまう。山田氏は最後のキャンプから頂上へのアタック、頂上に登ることができればそれでいいという考えで、先頭で飛び出していったそうです。
・既存のやり方に囚われない
山の業界はすごくプリミティブな業界だそうで、いわゆる昔からの通説が幅を聞かせているそうです。その一つが、山に登るには山に入って研鑽を積むしかない、という考え。エベレストアタック前にも普通は近くのエベレストに次ぐクラスの山を登ることで順応していくのが通例だそうですが、山田氏は、そこでの体力消耗や期間・お金がかかりすぎるということから、日本の低圧トレーニング施設に通わせてもらう交渉をしそこでトレーニングを積んだそうです。
また、現在手掛けている登山道具レンタルも然り。今までは素人も富士山に登るために総額10万円程の装備を準備しないと参加できないような障壁の高かった世界に、レンタルという(他業界では当たり前の)考え方を導入。富士山に登る人は別にこれから本格的に登山を始めようとしている人ばかりではなく、もっと気軽に登れればという潜在的な顧客がいるのではないかという分析をベースに事業を始めたところヒットしたそうです。
・小さな決断を積む
「七大陸最高峰最年少登頂記録!」「マッキンゼーという経歴を捨て登山というビジネス不毛の地で起業!」といったように、脚色も含め結果として大きな決断をしたように結果論としては見えがちです。これはご本人も話されていたことですが、七大陸最高峰登頂はある書籍を読んで俺もできるかもというノリから始まったそうですし、起業も元々山がバックグラウンドでそこでミッションを持つ者としてはリスクはあまり感じなかった、むしろこれまでの経歴をフルに活用してやるというくらいで、ということです。
逆説的ですが、大きな決断に見えるところに、実は大きな決断はない、ということなのかもしれません。始めは、シンプルに「やりたい」「やるべき」というところに素直に一歩実行をするところから始まり、その後にやるべきことを目的に照らして慎重に細分化し、小さな決断を頻度高く繰り返すことに成功のヒントがあるのではないかという印象を受けました。
・戦略的に準備する
当然登り始めたら体力や技術がないと登れないのは事実ですが、お話を聞いていると登るための状態づくりが登頂の成否を大きく決めているように感じました。山田氏の言葉を借りると「成田を出た時点で80%成功している」とのこと。エベレスト登頂には学生バイトでは賄いきれない多額の資金を必要とするため、うまく「最年少記録」(本人はどうでもよかったらしい)を梃子にスポンサー集めをしたり、上述のように目的のために分析的に打ち手を導いたりと、事前の準備に緻密な計算があります。
「実行までに時間をかける」ということと「準備を怠らない」ということは似て非なるものであるということを再認識しました。
書いてみるとあまりに当たり前すぎる話。当たり前過ぎることをできないと高い山には登れないという証左でもあるように思いました。(まとめ方が悪いという噂も、笑)
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