今さらながらTEDはいいですね。またいいのを見つけてしまいました。今回ご紹介するものは、先日のエントリで紹介した「e-患者」の考え方にも関連のあるテーマで、世のシステムやITの世界のように、医療も「メインフレーム」(中央集約)から「個人中心型」(分散型)へ転換すべきという内容。
エリック・ディシュマンが説く「医療をメインフレームから取り外そう」
インテル調べ(氏はインテルの研究者)では、「医療と聞いてまず思いつくものは?」という質問に対する一般的な最初の答えは「医師」、二番目の答えは「病院」だそうです。私達の脳は機械的に医療と医療改革といえばこういう所で起きるものだと考えるようになっており、これこそが「メインフレーム」中毒であるとディシュマン氏は言います。この医療機関にお金をかけ、皆で通って共同使用するという考え方1787年に始まったものだそうで、初めての一般病院はウィーンで生まれたそうです。それ以来、病人は病院に行くもの、診療科は分かれているもの、といった固定化したメインフレーム思考が脈々と続いていると。
当然病院を中心とした仕組みは重要なものであり続けると思われますが、一方で部屋いっぱいの大きさが必要だったメインフレームコンピュータの処理能力が、手のひらに収まるサイズの携帯電話に搭載される時代、同じ考え方が医療にも適用されるべきであると言います。メインフレーム型の医療では、無保険者に対する医療は十分にできませんし、超高齢化社会においてその医療費は膨大になり中央集中的な受け皿だけでまかなえるものではなくなります。氏は、「個人中心型」の医療への転換をはかり、医療を家庭に移動・分散させることの重要性を説いています。
メインフレーム型の医療と個人中心型の医療の対比は下記のような転換で表現されています。
※TED動画『医療をメインフレームから取り外そう』より引用
この個人型医療は考え方として大きなパラダイム転換ではありますが、非常に身近なところにヒントがあることも事実です。例えば、ということで紹介されている、電話の家庭での個人中心型医療におけるツールとしての可能性。下記はお年寄りの健康状態をモニタリングする一例ですが、考えると色々ありそうだなと。
- お年寄りが電話をとると、服用すべき薬を教えてくれるメッセージが聞こえる(薬を忘れずに正しく飲むためのツール)
- お年寄りの電話の受け応えを長期的に見ていき、相手の認知に費やした時間の長さを調べる(初期の痴呆を感知する知覚テストのツール)
- 電話が鳴ってから受話器を取るのに、以前より時間がかかっているかどうかを測る(耳が遠くなったのか、体が不自由になったのだろうか、といった老化度合いのモニタツール)
- 声が以前より小さくなっていないかどうかを測る(アルツハイマーやパーキンソン病の患者に見られる声の変化を測るツール)
- 受話器を取った時の手の震えを測る(初期の関節炎等の体の衰えの検知ツール)
- 電話の頻度を測る(社交性の減少と将来の身体的健康との関係性の研究ツール)
このように家庭で拾える予防的指標を、ディシュマン氏は「行動指標」と呼んでいるようですが、まだまだ身近なツールや習慣性を利用し行動指標を拾う予防の取り組みはありそうです。このような動きはどれくらい加速してくるのか未知数かとは思いますが、押さえておきたい動きの一つですね。
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