デイブ・デブロンカート:Meet e-Patient Dave
デブロンカート氏は「医療でもっとも活用されていない資源は患者」という言葉を引用し、これまで患者が主体的に医療情報にアクセスする難しさがあった状況を振り返ります。その上で、ウェブの登場で、情報は即座に入手できるようになり、ネット上で仲間を見つけ、集結し、情報交換することができるようになったことで、全てが変わったと言います。
そのような背景から、今後患者は「e-患者」になっていくだろうと続けます。「e-患者」のeとは、下記の4つのeで始まるキーワードです。
- Equipped:準備が整っている
- Engaged:深く携わっている
- Empowered:力が付与されている
- Enabled:可能性が満ち溢れている
但し、これは理想であり、まだ途上。概して、患者がアクセスできる情報は「他者」の記事、つまり一般的な事例や他の患者の症例であり、上記の4つのeを達成するために本当に必要なことは、患者自身が生データ(自身の健康・治療データ)にアクセスできるようになることであると主張しています。
この生データ(自身の健康・治療データ)へのアクセスがより患者の治療参加を加速させるという点、数字としても今後の伸びが非常に期待されています。
2011年で約150億円弱であった日本における健康管理サービス市場は平均130%弱の年成長率で、
2016年には約610億円の市場規模に達する見込み
2016年には約610億円の市場規模に達する見込み
出所:テクノ・システム・リサーチ:「在宅医療・健康管理ソリューション市場調査結果」より
また、少し古いですがこの『The New Era Of Interactive Health』という記事に'Interactive Health'というキーワードが紹介されています。言われているのは、個人の健康情報・データを簡単にリアルタイムに集め、管理し、分析し、理解し、トラッキングするサービスの必要性です。これもまた「e-患者」の流れの一つでしょう。
加えて、ソーシャルメディア、モバイル、ゲーム等の仕組みを組み込むことで、インタラクティブ性もそこに加わり、Amazon等の他のネット企業が行っているように'personalization''socialization''engagement'といった要素が加わってくるようなイメージです。
以下に、本文中に記載されている'Interactive Health'のポイントを抄訳で引用します。
- Mobile and online applications for improving health are fast, simple and accessible anytime and anywhere.
健康改善のためのモバイル/オンラインアプリに、早く、簡単にいつでもどこでもアクセス可能に。 - Personalization reigns, and personalized tools help you receive secure, tailored, relevant and actionable health information that’s all about you.
パーソナライズドが当たり前に。セキュアで個別化されていて、アクションに繋がる「自身の」健康情報を受け取ることが可能に。 - 24/7 easy access to trusted physicians and their wisdom, online and offline, facilitate a continuum of care in a seamless, effective and secure way.
オンライン/オフライン問わず、24時間、医師とその知恵にアクセス可能に。一連の治療をシームレスで効果的でセキュアな方法で促進。 - Interactive technologies provide access to and facilitate communication with relevant, experienced individuals and support groups to help you make informed decisions.
インタラクティブなテクノロジーが、適切で経験豊富な個人(患者?医師?)やサポートするグループへのアクセスとコミュニケーションを可能に。より情報に下支えされた決断をサポート。 - Simple tools with game-like interactions make it fun to become and remain engaged in your health.
ゲームの要素を取り入れたシンプルなツールによって、自身の健康に深く関わり続けることを楽しい作業に。
これらの考え方は、当然、既存の患者を減らす、あるいは既存の患者のQOL(Quality of Lie)を上げる、といったことに寄与しますが、加えて潜在的な患者を患者にさせない予防の意味でも重要であると思います。感覚値ですが、その社会的なインパクトは既存患者に対するものよりも大きいかも知れません。
(2012.3.6 追記)
患者自身での健康管理ソリューションについて、もう一つTED動画があったので追記。徐々に流れは来ているように感じますが、体重や血圧等の健康情報を毎日自宅で測定し、測定器をスマホにつないでクラウドにアップ・管理、かかりつけ医がそれをチェック、みたいな世の中が来るはずです。加えて、ピアプレッシャー(同じ治療や予防に取り組んでいる人同士の励ましあい)も一つのポイントのようですね。
ルシアン・エンゲラン「クラウドソーシングによる健康管理」
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