ティム・ブラウン:創造性と遊び(Tim Brown on creativity and play)
総じて語られているのは、「真剣な」ビジネスの場における「遊び」の重要性です。ビジネスや社会システムにおける問題解決にデザインを活用したコンサルテーションを提供することで有名なIDEO。デザイン(を活用した問題解決)のプロセスにおいては、多くのアイデアを探索する「生成的な段階(発散)」と、それらをつなぎ合わせてそこから解決策を探し出し「発展させる段階(収束)」が求められ、それぞれに「真剣さ」と「遊び」が必要になると言います。
この「遊び」の要素、我々が子供の時に学んだ行動であると言います。我々はいつの間に遊ぶことを忘れてしまうのでしょうか。
And there are a series of behaviors that we’ve learnt as kids, and that turn out to be quite useful to us as designers. They include exploration, which is about going for quantity; building, and thinking with your hands; and role-play, where acting it out helps us both to have more empathy for the situations in which we’re designing, and to create services and experiences that are seamless and authentic.
私達が子供のときに学んだ数々の行動があり、それはデザイナーとしてとても役立つものだと分かりました。その行動は量を求める探索、自分の手で組み立て考えること、そして、ロールプレイして演じることで、私達のデザインする状況に感情移入することが出来 つなぎ目のない確かなサービスや体験を作り出せるようになるのです。
詳述は避けますが、動画中のスライドでは、下記の3ステップでまとめられていましたので、これも参考になると思います。
- Exploration : Go for quantity
- Building : Think with your hands
- Role play : Act it out
また、下記の言葉が印象的です。
"It’s not an ‘either/or,’ it’s an ‘and.’ You can be serious and play.”
「真剣さ」と「遊び」は、この両者の間を行き来できることが重要であり、どちらか一つだけで良いということもなければ、線形的に順序が完全に固まっているものでもないということです。つまり、「真剣さ」と「遊び」は「もしくは」ではなく「かつ」であるというわけです。
ただこれ、言うは易し行うは難し、ただ単に「遊び」を意識しているだけでは、なかなか実際の業務プロセスで実践できないのではないかと思います。IDEOもコンサルテーションを提供するだけではなく、方法論・プロセス自体の企業へのインストールもサービスとして提供しているようですが、業務プロセスの「ルール」としてこの「真剣な遊び」の要素を織り込んでおく必要があると言います。
この「ルール」は、突飛なアイデアを共有する、リスクを犯す、といったことを躊躇しなくても良いという安心感を生み出すための意味合いもあります。突飛なことを言うことを恥ずかしがらなくていいよ、と。また、古いルールや規範を創造のプロセスに持ち込ませないためでもあります。例えば、IDEOの提唱するブレストのルール(判断を控える、量を求める等々)などは有名です。
ここまで書いておきながら、私自身このようなルールを忠実にビジネスで実行してみたことがありません。どんな効果が得られるのか。彼らの言う'learning by doing'をしなくてはと思うので、機会を作ってやってみたいと思います。
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