2011年11月1日火曜日

マーケティング・リサーチにおけるハイプ・サイクル -技術が広げる可能性-

ハイプ・サイクル(Hype Cycle)。それは、調査会社ガートナーが考案したモデルで、主にIT関連の新しい技術が登場した後の、業界の反応や新しい製品・サービスとして取り込まれていく動きを、時間経過によるサイクルとして類型化したものです。

大きく言うと、新しい技術が登場してからの動きとして、下記の5つのステージがあると言われます。
  • テクノロジの黎明期(Technology Trigger):画期的な新技術が発表され、潜在的な可能性に期待が集まるステージ
  • 過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations):(多くの失敗例の中で)一部の成功例がクローズアップされ、過剰な期待が起こるステージ
  • 幻滅期(Trough of Disillusionment):実際に利用してみると幻滅するステージ
  • 啓蒙活動期(Slope of Enlightenment):正しい利用方法が確立され、周知されると再度注目が集まりだすステージ
  • 生産性の安定期(Plateau of Productivity):安定的な利用をされるステージ

2011年版の先進テクノロジに関するハイプ・サイクルも発表されており、下記は概念図の抜粋です。
ガートナー プレス・リリース『「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2011年」を発表 市場を変革する可能性のあるテクノロジの成熟度を分析』より抜粋






















新しい技術が次々と出てくるIT業界ならではかも知れませんが、数が多すぎて目視するのも厳しいレベルですね。同じ時期に複数の新しい技術が登場するとい うことは、常に業界の先端を行く機会が存在するということを表すとともに、それだけ定着前に消える技術も多いわけで、リスクも相応にあるということかと思 います。

最近よく話題に出てくるようなトレンドを見ていくと、「クラウド・コンピューティング」「NFC(Near Field Communication)ペイメント」「ソーシャル・アナリティクス」「グループ・バイイング」「ゲーミフィケーション」等は軒並み「過度な期待のピーク期」ですね。定義からしてそりゃそうですよね。。

また、「3Dバイオプリンティング」とか「モバイル・ロボット」なんていうよくわからないけど、なんか凄そうなものもあって、想像すると楽しいですね。


さて、ハイプ・サイクルをマーケティングという文脈で見るとどのような意味合いがあるのでしょうか。マーケティングのOne of themではありますが、マーケティング・リサーチにおけるハイプ・サイクルを記事にしているブログがありましたので、ご紹介します。

Hyping Research Methodologies

下記がそのハイプ・サイクルの図(上記ブログより引用)。



各ステージ毎に挙げられているトレンドは下記です。「幻滅期」から「生産性の安定期」にかけて挙げられている項目には、一部違和感がありますが、時系列に並べると、順番としてはこのような感じなのかとは思います。

※違和感というのは、感覚的には既に定着しメインストリーム化している「オンライン・サーベイ」が「幻滅期」にあったり、既に特定のセグメントをカバーするための補完的手段でしかないと思われる「電話・郵送サーベイ」が「生産性の安定期」にあったり、という点です。つまり、全体的にトレンドはもう少し右(先)に動いていて、且つハイプ・サイクルの右端から消える、あるいはカーブが再度下降するという状態がありうるのではないか、と思うわけです。
テクノロジの黎明期
・Research games
・Mobile research

過度な期待のピーク期
・Social media research
・Text analytics
・MROCs(Market research online communities)

幻滅期
・Sentiment analysis
・Online surveys

啓蒙活動期
・Online access panels

生産性の安定期
・Phone surveys and mail surveys
・Focus groups

マーケティング界隈で最近サービスのリリースとして活況があるのは、ちょうど「過度な期待のピーク期」にあたるアイテムですね。なんか毎週のように各社がリリースをしている感があります。

業界でその先を行こうとするのではあれば、「テクノロジの黎明期」にある「Research games」や「Mobile research」なんでしょうかね。マーケティングの本流では既に「過度な期待のピーク期」にあると思われるゲーミフィケーションを使ったリサーチ、ありそうです。位置情報の活用、購買やイベント参加直後の声といった即時性のある情報の活用、写真の活用などなど他にも色々できそうなモバイルを使ったリサーチ、これもありそうです。どちらも最後のステージに進むかわかりませんが。。

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