先日Twitterを眺めていたら、AR(Augmented Reality: 拡張現実)アプリ「セカイカメラ」で有名な頓知ドットの井口CEOが、サービスの理想形についてつぶやかれていました。
分かり易く、使い易く、意味や価値があり、日々利用出来て、現在の技術ベースで大仰な準備や営業は不要で、自分達らしく、楽しく、世の中の為にもなり、将来性や収益性も高い新規サービスが最高だよね!※Tweetを埋め込む方法がわからないのでリンクを(なんてアナログ。。)
これ、自分の思うところに非常に近いサービスの理想形です。
人の発言を勝手に整理するのもどうかと思いますが、大きく2つのことを言われようとされているのだと理解しました。
・「三方よし」であること
言わずと知れた近江商人の「三方よし」。「売り手良し、買い手良し、世間良し」ですね。
つぶやきを強引に分解すると、「売り手」:自分達らしく・楽しく・将来性や収益性も高い、「買い手」:意味や価値がある・日々利用出来る、「世間」:世の中の為になる、という風に整理できるかと思います。
これは当たり前と言えば当たり前ではあるのですが、サービスを世に出すということのベースは、「誰かが抱えている問題を解決するあるいは欲求を満たす。自分たちだからこそやれること、やりたいことをやり、それが続けられるように一定の儲けを得る。そのビジネスサイクルが社会全体を良くすることにつながっている。」ということにあるのではないかと思います。
・「シンプル」であること
「三方よし」にうまく整理しきれない、少し異質なキーワードが、「分かり易く、使い易く」「現在の技術ベースで大仰な準備や営業は不要」という2つのキーワードです。これは視点が利用者と提供者で違ってはいますが、言わんとしていることは「シンプルであること」に集約されるのではないかと思います。
直感的には「シンプルであることが良さそうだ」ということは言えると思うのですが、ではなぜシンプルであることがいいのかということを考えると、意外と「なんとなくその方が良さそうだから」というレベルであることが多かったりするのではないかと。もはや誰が最初に言い出したのかわからないくらいですが、色んな人の名言として「やることを決めるよりも、やらないことを決めることが重要」と聞くし、とか。
私が考える「シンプルであること」が重要な理由の一つは、シンプルにすることで「価格に対する相対的な価値が向上する」ということです。
誰しも、「この機能いらない。これなくていいからもう少し安くならないのかな」という経験があるのではないかと思います。利用者が求めていない機能にも開発や営業のコストがかかっているわけで、それは大なり小なり価格として転嫁されているはずです。コンセプトや機能をシンプルにすれば、それだけプロセスもシンプルにできる(コスト≒価格がおさえられる)はずです。
また、シンプルにすることで、価値についても、機能が多くあるよりもむしろ向上する可能性があります。折角のコア機能がその他の雑多な機能によって使い辛くなったり分かりにくくなったりすることがあるかと思いますが、それはコア機能の価値も下げていると言えます。また、価値が下がるというのはまだましで、機能があれもこれもと多いことで、結局何をしたいがためのサービスかがわからず使われることすらなくなることもあります。これに至っては、価値はゼロです。
つまり、シンプルであるということは、「価値が100%消費され、その消費された価値と真に対等な対価が支払われる」という、価値と対価の本来あるべき姿に立ち返ることでもあるわけです。
あ、あと個人的にはあまり汗だくになりながら泥臭く営業することを好まないところがあり、説明不要なシンプルなものであれば何もしなくても売れるはず(もちろんそのための仕掛けは必要)ということもあります。格好良く言うならば、ドラッカーの下記の言葉ですね(苦しい説明。。)。
マーケティングの目的は、販売を不要にすることである
以上のように、「三方よし」と「シンプル」を実現するということは私の中でサービスの理想です。これ、このように言葉として定義するのは簡単でも、いざサービスとして落とし込むとすると結構(というか、かなり)難しいポイントです。考え抜くしかないんですよね。
※おまけ
ちなみに頓知ドット井口CEOは凄くユニークな経営者兼技術者で、たまにすごく本質的なつぶやきをされるので、勉強になります。最近だとこのプレゼンすごく出回りましたね。何度見てもパンチあります。
※全文起こしはこちらから
0 件のコメント:
コメントを投稿